オグリキャップ。
競馬に関心が無い人も、一度は耳にした事がある名前ではないだろうか?
『昭和』から『平成』を駆け抜けた寵児。ホリエモンでは無い。 競馬界に改めて火を点けた、『オグリキャップ』の事である。 地方競馬の笠松からの出身。その上、血統も良いとは言えない。 その彼がJRAに移籍し、時代のヒーローになる訳である。 JRA発行のポスターに刻まれた文字は、『ありがとう。』 1988年、中央移籍後すぐその能力を見せ付けたレースと云えば、東京競馬場でのGⅡ『ニュージーランドトロフィー』ではなかろうか。 3コーナーから徐々に進出すると、4コーナーでは先頭集団に混じり、直線に立つと後ろを引き離すのみ。持ったままで2着につけた着差は7馬身。勝ちタイムは1分34秒0であった。 あまりにも凄い圧勝劇。世間は『幻のダービー馬』の存在を無視出来なくなっていた。 秋、注目の初戦は『毎日王冠』であった。が、軽く勝ってしまい、次走のGⅠ『天皇賞』に真の意味での期待が掛かる。が、同じ毛色の『タマモクロス』に敗れてしまい、連勝は14でストップする。続くGⅠ『ジャパンカップ』では、初の2400mと海外の強豪達に挑戦も、レース前半折り合いを欠き3着。再びタマモに先着を許した。 タマモクロスには敵わないのか?その想いを胸に、決着は『有馬記念』へ。 このレースで引退が決まっていたタマモクロス。オグリにとってリベンジのラストチャンスであった。鞍上はあの『岡部幸雄』。最後方追走から3コーナーで追撃を開始したタマモが直線入り口で背後に迫ると、オグリは引き離しにかかる。いったん並びかけられたが、半馬身差でゴール。最後の最後で大きな壁を乗り越えた。『最強』のバトンを受け継ぎ、新たなる挑戦者を迎え撃つ立場になるのだった。 しかし翌年4月、『右前繁靭帯炎』を発症し春を全休する事になる。が、秋復活初戦の『オールカマー』ではレコードを叩き出す。鞍上には前年の宿敵タマモクロスの手綱を取っていた『南井克己』がいた。 続いて『毎日王冠』。これは名勝負だった。グランプリGⅠ『宝塚記念』を制した『イナリワン』とのゴール前の叩き合い。ハナ差での勝利であった。新たなるライバルの出現である。 そして『天皇賞』。『スーパークリーク』に敗れての2着。坂下での不利を被り、南井は『勝てるレースを落としてしまった。すみません。』とコメントする。またオグリも、レース後どうしようにも動かなかったという。きっと彼も悔しかったのだろう。 陣営は天皇賞の前に計画されていた、『マイルCS』、『ジャパンC』のGⅠ連闘を表明。まずはマイルへ。久しぶりのマイルのペースに戸惑うようなレースぶり。『安田記念』を制している『バンブーメモリー』のリードを、コース内側から必死の追走で馬体が並んだあたりでゴール。結果はハナ差の先着。南井は『まだ借りは半分しか返してない。次も勝ちます。』とコメント。この勝利の喜びに浸る間も無く、府中へ。 『ジャパンカップ』。このレースは凄まじい闘いだった。驚異的ハイペースを好位4番手で追走したオグリは、直線でニュージーランドの牝馬『ホーリックス』が先頭に立つと、すぐさま追撃。 完全な一騎打ちにクビ差まで詰め寄るが、惜しくも2着。掲示板には『2.22.2』という世界レコード。同タイムで敗れたが、その精神力に誰もが驚愕する。オグリは日本のヒーローとして、より注目を集める存在になっていた。 この年の最終戦『有馬記念』。ファン投票1位での出走であった。しかしこの日のオグリは折り合いを欠き、スーパークリークやイナリワンに軽くかわされ馬群に沈む。結果、初めての5着。連戦の疲れなのか…。この後温泉療養に出る事になる。 翌年、疲れを癒して戻って来たオグリ。5ヵ月ぶりにGⅠ『安田記念』に出走。鞍上には天才『武豊』を乗せていた。久々のレースながらも圧倒的支持を得る。絶好のスタートをきり楽々と抜け出し、直線ではほとんど持ったままの余裕の大楽勝。おまけにレコード付きである。 〝まだまだ行ける〟。誰もが信じて疑わなかった。が、続く『宝塚記念』で謎の敗北を見せる。 4コーナー手前で戦意を喪失したかのように伸びず、大差をつけられ2着に敗れる。負けるわけがないレースを落とし、その後脚部不安もあり、予定していたアメリカ遠征も中止となる。オグリの世界挑戦は夢に終わった。 脚部不安の回復に手間取りながらの秋の天皇賞参戦。スタート直後2番手集団につくが掛かってしまい、直線では全く伸びずの6着。生涯初、馬番が掲示板から消える屈辱を受ける。かつての怪物の姿が薄れつつあった。 そして1ヵ月後のジャパンカップ。本調子で無いオグリは無理をおしての出走。復活なるか?のファンの期待も虚しく、11着の大敗。もう以前の姿は無く〝引退〟が噂さされ、ファンからも願う声が上がる。しかし陣営は有馬記念に出走する事を表明する。その事で非難が集中するが、参戦を決行。もう弱いオグリを誰も見たくないのに…。 1990年12月23日。芦毛は中山にいた。もう無事にコースを回って来てくれればいい…。誰もがそんな想いで見たレースだったのではなかろうか。唯一の好材料は鞍上に武豊がいた事ぐらいである。祈るような視線の中、レースがスタート。中団を追走するオグリ。その怪物の闘志を、武は沸々と甦らせていた。3コーナーからマクリあげると、直線手前では2番手へ。先頭のオサイチジョージを捕らえに力強く伸び、ついに先頭に立つ。メジロライアンの猛追撃を振り切り、ゴールに飛び込むのである。 絶叫の嵐の中、武はガッツポーズ。幾度も日本中を沸かした馬が、最後の最後に魅せてくれた強さ。彼ほど人々を熱くさせた馬はいないに違い無い。 その姿に贈る言葉はやはり『ありがとう』こそふさわしい。 オグリキャップ 魂の激走 / ポニーキャニオン スコア選択: ★★★★★ その不屈の精神を見て欲しい1作。泣きます。
by heartstrings_3
| 2007-03-17 12:40
| 競馬
|
こちらもどうぞ!
お気に入りブログ
山村幸広の一日、一グラム
料理人の休日 あい!まっしぐら!! 小栗~cokuri~のコトバ Ocean Breeze peace piece かほり日記 お散歩日和 ー京都の風ー miumiuとperleの夢 チラ裏美食倶楽部 Paradisecafe 日記 札幌の空の下で徒然記まま... Guitarist Ts... 。:.*世界中の浪漫のカ... 人生プラス思考 Dolce Vita ~... ミヤモーの戯言 花南と楽しみませんか? オールドマックファンのj... まさはるの通信簿 STAR HIGHER ... Mehr Luft !!... 心と写真 いつか書く手紙 mong 絵Colino☆art中♪ サングラスから見た日常 俺のSHOUT! ジャズ ピアノ 日記 ... あまからチラ裏日記 至福のホテルスタイルインテリア もうひとつのSlowBlues 緑区・滝の水 隠れ家「イ... 走れ! ピアニスト 以前の記事
2007年 11月
2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 カテゴリ
ライフログ
最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||