上意討ち。
日本橋三越本店、本館6Fにある三越劇場で、『上意討ち -拝領妻始末-』を観て来た。
創立80周年に関わる、劇団俳優座提携公演である。 主演は『加藤剛』。息子役に、実の息子『頼三四郎』。妻役に『若井なおみ』。 原作は『滝口康彦』。シナリオは『橋本忍』。脚本・演出は『金子良次』。 普段は演劇を観る機会がなかなか無いのだが、今回お誘いを戴き、ドキドキを隠しながら客席に座った。時代劇演目なので、自分はすぐのめり込んだ。 あらすじはこうである。 会津松平藩馬廻りの笹原伊三郎は、主君の側室おいちの方を嫡男・与五郎の妻に拝領せよと命じられた。 いちは許嫁がいるにも関わらず側室にされ、菊千代という男子を産んでいたが、今また、藩主の命で暇を出されようとしていた。 自身婿養子として笹原の家に入った伊三郎は、与五郎には優しい嫁をと思っていただけにこの話に反対するが、与五郎は自分の意志でいちを嫁に迎える事を決意する。 与五郎といちの仲は睦まじく、やがて子も産まれ穏やかな時が過ぎて行くが、主君の嫡子が急死した為に、いちが産んだ菊千代が世継ぎと決まり、藩は世継ぎの母となったいちを返上せよと命じた。 余りにも理不尽な上意に、伊三郎と与五郎は叛徒になる決意をする。 (上意討ち・パンフより) 劇場はおよそ100座席ぐらいで、役者のセリフが漏れなく聞こえる創りであった。 舞台を隅々まで使い、飽きのこない演出は素晴らしかった。 ストーリーも良かった。家族の絆の大切さを、改めて思わせてくれた。 また、流石に皆プロである。 セリフは勿論、視線・仕草・呼吸・間などなど、全てにおいて神経を行き渡らせているのが、見ていて分かるのだ。 自分も飛び入りで参加したくなるほどに、興奮してしまった。 この作品は1967年に、伊三郎役を『三船敏郎』 、与五郎役を『加藤剛』で演じていたようで、40年たった現在、伊三郎を加藤剛が演じているのも興味深いところである。 大岡越前に見えてしまうのは自分だけではないハズ…。『TVの影響は恐い』と思いつつも、その凛とした姿・迫力に圧巻。 個人的には、与五郎役の頼三四郎が良かった。苦悩している様が凄く伝わって来て、何度も涙しそうになった。人を打つ演技と云うものを、解っている方なのだなと云う印象を持った。 今後も楽しみな存在である。 公演は今月の23日(土)まで。 興味のある方は是非とも観て頂きたい!!
by heartstrings_3
| 2007-06-16 20:00
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